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コラム「南風」より・第3回「料理「チャンプルー」の今後」

 チャンプルーは本来、料理名としてのみ使われていたと思われます。しかし、いつのころからか、まぜこぜにするという意味が強調され、「チャンプルー文化」という言葉を生み出すまでにいたりました。

 一九七五年以前の書物、田島清郷著『琉球料理』、新島正子著『琉球料理』、国立国語研究所編『沖縄語辞典』にはいずれも「チャンプルーとは豆腐と野菜の炒め物」と出てきます。それが、最近は豆腐の入らない、炒め合わせたものにも、チャンプルーというようになってきています。

 沖縄の豆腐(島豆腐)が堅くて栄養価が高いことが全国的に認知されたのは、一九八二年科学技術庁が発行する『日本食品標準成分表』に掲載さてからのことです。他府県の豆腐と大きな違いを持つ沖縄の豆腐を使ってこそチャンプルーが沖縄の料理といえるのではないでしょうか。

 今、チャンプルーを沖縄独特の料理として維持するには、心して、豆腐の入った炒め物にのみ「チャンプルー」という名を付け、それ以外は「○○の炒め物(タシヤー)」と区別する必要があると思います。「ソーメンチャンプルー」「麩チャンプルー」も例外にしてはいけないと思います。懐古的意味合いからではなく、前向きに「チャンプルー」を守りたいものです。

 最近、チャンプルーに脂肪分の多い肉や魚の加工缶詰が使われ、脂肪摂取量を高め、生活習慣病が問題視されています。

 一九六二年ごろ、母校女子栄養大学の元学長・故香川綾先生が豆腐と野菜を炒めたチャンプルーを絶賛されていました。しかし脂肪分の多い肉類を入れる傾向に対し、脂肪分の取りすぎを危ぐされていたのを思い出しました。

安次富 順子

  • 那覇高15期卒。
  • 沖縄の食文化研究家
  • 沖縄調理師専門学校(校長)
  • 王朝菓子、冊封使料理の再現。ブクブクー茶の再現と普及活動。著書に『ブクブクー茶』など。


  • コラム「南風」(琉球新報掲載)より転載いたしました。
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